あの時も、これからも
一方、ここら辺では豪邸に入る黒崎家

海斗にドイツに行くから、と宣言兼報告を受けていた信次は、海斗がしるふを残して4月1日にドイツに渡ったことを告げた

3月下旬に急きょ決まったことで海斗は実家に報告する暇がなかったのだ

海斗自身は一回家に帰るよ、と言っていたがあまりの多忙さにあきれた信次が止めた

そして黒崎病院の年始の仕事がひと段落し、久々にたまった仕事に追われない休日を迎えた信次は沙希に事の詳細を報告した

海斗の行く末を心底心配していた、けれどしるふという3年来の彼女がいることに安心を得た沙希が信次の言葉に眉を寄せたのは言うまでもない

「なんでしるふちゃん置いて行くのよ!あのバカは!何考えてんの!?」

てかなんで父さんも止めないの!!

きっと睨まれて信次は苦笑する

「海斗は立花さんの元指導医だし、神宮寺から立花さんを医者としても大切にしてるって聞いてたからな」

きっと海斗が想うことがあるのだろう

「だからって!結婚目前(きっと)、付き合って4年目に入る、しかもそろそろ年齢的にも結婚を意識するだろう彼女を日本において行く!?しかも一年!?」

本当に何考えてんの!!

一年もあったらそこら辺の男がしるふに寄ってくるではないか

そしてそんなことがあるなんて思いたくないけれど、もしかしたらしるふが新しい恋をしてしまうかもしれない

海斗が渋っている間にだ

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