あの時も、これからも
「園ちゃんは?松田君とうまく言ってるの?」

「あ!聞いてくださいよ!あいつったらまた!」

思い出したように憤然として語りだす園田にしるふは優しい笑みを向ける

松田とは園田の彼氏でそろそろ二年になるはずだ

研修医をしていた時に園田が医者になることに反対した松田と大喧嘩し、そのことをしるふに愚痴ったことでその存在を知った

その時隣にいた海斗が淡々と「一回ここに連れて来れば?それでも園田が医者になることを反対するようなら、そんな男捨ててやれよ」という助言とは取れない言葉をきっかけに松田は海斗を尊敬しているらしい

そのあと松田が本当に働く園田の様子を見に来て、それ以来園田をきちんと支えているというのだから海斗の助言、恐るべしだ

それだけで松田が海斗を尊敬するに至るとは思えないからもしかしたらそのあとに海斗が直接松田に何か言ったのかもしれない

と園田が言っていた

その事実を知っているのは海斗としるふと、そして松田本人のみ

ま、あんなことを言われればちょっとは尊敬するわよね

としるふは事の詳細を海斗から聞いたときに納得した

海斗としるふにしてみれば二人はかわいい、少し懐かしいカップルだ

だから海斗も松田から連絡が入ると対応してしまうのだろう

でも園田が「黒崎先生!あいつに言っといてくださいよ!!黒崎先生の言うことだと聞くんです!!」と松田と喧嘩した園田がその仲介を求めると

海斗は至極面倒くさそうに「んなこと自分で言えよ。お前らの仲を取り持ってやるほど俺は暇じゃあない」とか言うのだからその心境はいったいどういったものなのだろう

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