あの時も、これからも
「どうした、しるふ」

開口一番、尋ねてくる海斗に苦笑しながらしるふは向かえに座る智香に目をやる

終業後、黒崎病院自慢の社員&患者用食堂に智香とともに移動したしるふは、飲み物を持って適当な場所に座り早速海斗に電話をかけた

意外とすんなり海斗が電話に出たことに軽く驚きとうれしさを感じつつしるふは尋ねる

「海斗さ、宮部智香さんって知ってる?去年研修した病院で働いてるらしいんだけど」

向かい側ではきらきらと子供のように瞳を輝かせる智香がいる

「宮部?…ああ、いた、な。そんなやつ」

あれだろう?とにかく元気のいい長谷川女バージョン

海斗の言葉にしるふは少し眉を寄せる

その評価はどうかと思うんだけど

しかもこいつ忘れてたな?

去年研修した病院で…なんて言わなければ海斗は絶対に思い出さなかった

相変わらず必要のないと思った人の名前をホイホイ忘れる海斗に小さくため息をつく

「で、その宮部さんが今日来てさ。海斗に聞けば話が早いって聞いたんだけど」

「へー、本気で来たんだ、あいつ」

海斗の感嘆交じりの声にしるふは少し驚く

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