あの時も、これからも

「っとにもう、あいつは女心のおの字もわかってないのよ」

切れた電話を眺めつつしるふが憤然と言い放つ

それを向かい側で眺めていた智香は、納得したように微笑んだ

「ごめんね、えっと智香さんだったよね」

「智香でいいですよ」

にっこりと笑う智香にしるふは好印象を覚える

「じゃあ、智ちゃん」

「はーい、私もしるふさんって呼んでいいですか?」

「うん、どうぞ」

「やった!!」

心底嬉しそうに笑う智香を、人なつっこい子だなーと感想を抱きつつしるふは小さく首をかしげる

「私しるふさんにどーしてもあってみたかったんですよ」

なんで会いたいなんて思ったんだろう、と疑問に思っていると智香が答えるようにしゃべりだす

「なんで?」

「だってあの黒崎先生が大切にしてる彼女さんですよ?あってみたいと思うじゃないですか」

そうかな?と首をかしげるしるふに智香が畳みかけるように言う

「そうですよ、あのお世辞にも愛想のいいとは言えない黒崎先生が!どれだけ頑張っても照れ笑いもしてくれない黒崎先生が!すーごく優しい目をするんですよ?しるふさんの話するときは」

そりゃあってみたいと思いますよ