あの時も、これからも
「そういえば黒崎先生は学会か何かですか?」

少し顔が熱いなーと思っていたら智香が話題を変えてきたので、しるふは首を振る

「ううん、四月からドイツにいるの」

「ドイツ!?」

またまたなんで!?

「ドイツの研修プログラムに参加してるんだ」

この話すると皆とにかく驚くなーと思いながらしるふは淡々と述べる

「また研修?忙しい人だなー。ちなみにいつ帰ってくるんですか」

「一年で戻ってくるって断言していったよ」

「一年!?」

「うん、一年」

智香が驚きのあまり口をパクパクと動かす

「ええっと、それで黒崎先生は一人で行ったんですか」

混乱している中でようやく出てきた言葉にしるはうん、と頷く

「え、一緒に来てくれって言われたけどそんなのいやよ!って断ったとか…?」

「ううん、待っててくれって言われたから待つことにしたの」

ひょうひょうと述べるしるふに智香があり得ないと首を振る

「一年も待っててくれってどういう神経?てかなぜプロポーズしない?」

しるふに言うわけではなく、独り言のように智香がつぶやく
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