あの時も、これからも
その姿を認めて瞳を大きくするしるふに櫻井は不敵に笑みを宿す

まるでその反応に満足しているよう

「なんで、櫻井さんがここに?」

「取引先から帰る途中だよ。つかお前こそ何してんだ」

言葉使い的には海斗とそう変わらないのに穏やかな雰囲気のないせいか海斗よりも口調が荒っぽく聞こえることろは昔と変わらない

「ウインドウショッピングってやつですよ」

「ったく暇な奴だなー」

すみませんねー、暇な奴で

本当に変わらないわ、と心の中でぼやきながらしるふは瞳を細める

「暇ならちょっと付き合えよ」

「え!?って、櫻井さん!」

言うな否やしるふの腕をつかんで歩き出す櫻井の背にしるふの焦った声が虚しくかかる

こういう強引で俺様なところ、どうやれば治るんだろう

仕方なく櫻井に手を引かれてあるくしるふは、ふと嘆息した


櫻井に連れられてやってきたのは、小さなカフェ

木造の温かみのある店内には5席くらいのテーブルとイス

そして二人の店員さん

「っもう、なんなんですか、いったい」

っていうか、櫻井さん仕事中でしょ?

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