あの時も、これからも
「そういうお前も口答えするところはかわんねーな、つか磨きがかかったか?」

「その言葉そっくりそのままお返しします―。どうせ今でもワンマン貫いてるんでしょ」

出逢ったころから仕事も生活もワンマンな櫻井

嫌味なくおしゃれだし、仕事はできるから女はそこそこ寄ってくるのだけれど、一度でも面倒だと思うとバッサリ切ってしまう

「女なんて職場でもきゃーきゃー騒いでるだけで得にならない」と言い切った櫻井は、たぶんきゃーきゃー騒がないしるふに好感を持ったのだろう

泣く女は好きじゃない、ぐずぐずする女も好きじゃない

彼こそお世辞も社交辞令も遠慮も謙遜もしない男だと思う

海斗よりも一匹狼だ

人間だれだって泣きたくなるときくらいあるし、グズグズだってするわよ!と今なら思える

弱い自分と向き合えた、そんな自分も好きだと思える今なら

「ワンマンで何がわりーんだよ。仕事なんてできるやつが上に立つ。当たり前だろ?」

「そんなこと言ってると本当に困ったときに一人ぼっちで途方にくれますよ?」

「一人でなんとかできるんだ、途方に暮れるなんてことあるわけねーだろ」

売り言葉に買い言葉

あー言えばこういう

まったく本当に変わらない

人間て年取るとまるくなるんじゃないのかなー、と嘆息しながら思っていたらホットコーヒーが運ばれてきた
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