あの時も、これからも
どうして私の周りには女心のわからない男ばっかりいるんだろう

女の前で年と体重の話はタブーなのよ!!

それが分からないうちは絶対櫻井は結婚できない、それどころか彼女も満足にできない、と心の中で毒づく

「本当のことだろ?しかも医者なんてどこの男が好んで捕まえるってんだ。相当な物好きだろう」

ホント失礼なんだから!!

「そーですね。自分で俺は変化球好きだって言ってました。どうせ私は変化球よ。そんな女を食事に誘ったのは櫻井さんですからね」

人を面白がってからかうところは海斗も櫻井さんも変わらない

こうやって話しているとちょっと懐かしく思うのは、たぶんそのせい

「少しは食費が浮いたろう?感謝しろよ」

軽やかに笑う櫻井を見つめながら、友達としてはいい人なんだけどなー、としるふは思う

でもそれ以上は今でも無理だな

あれはあれでいい思い出だ、と認識を新たにするしるふ

「さて、そろそろ次の取引先に行く時間だ。ゆっくりしていけよ、しるふ」

そういってテーブルの上に二人分のコーヒー代を置いた櫻井は、取りつく島もなく去っていく

からん、と音を立てて閉まるドアを見つめて

「ゆっくりしていけよって…」

この置いてきぼりを食らった彼女、という状況で…

「ゆっくりなんかできるかー!!」

別れて正解だった、そう改めて思うしるふだった


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