あの時も、これからも
今あったら、きっと「なんて顔してんだよ」と苦笑交じりに言われる

そしてきっと抱きしめてくれる

優しく、でも力強く

そしたらまた頑張れるのに

はあ、とため息とともに胸の中に居座る想いを打ち消す

泣き言なんか言っていられない

まだまだ折り返してすらいないのだから

自分は待つと決めたのだから

ここで医者をしてその帰りを待つと

だから、絶対に泣かない



「…よしっと」



自分に活を入れてしるふは屋上を後にする


いつもは二人で座るベンチも少し寂しそうにそこに佇んでいた

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