あの時も、これからも
医局に戻ってICUに顔を出したり、見舞いに来たご家族と話をしているうちに日はだいぶ傾いてきた

ぱたぱたと忙しなく動きながら医局とICUを行き来する

今日もそろそろ終業かーと思っていた時

鋭い音でスタットコールが鳴り響く

一気に緊張感が高まる医局

処置室の準備をはじめ、患者を待つ


「…ッ!?…桜ちゃん!?」

運び込まれてきた患者にしるふは目を見張る

以前、まだ高校生だった河木桜を担当したことがあった

生きることに投げやりで「どうして助けたのよ」とまで口にした少女は

珍しく怒った海斗に一喝されたり

医局で人の死や生にきちんと触れて考えを改めたのだ

退院するときに「将来さ、看護師になるね。そしたらここでやっとてくれるかな?黒崎先生と立花先生と働きたいんだ」

そう笑顔で話してくれた桜は今、大学生のはずだ

看護学校に行っていればそろそろ卒業のはず

時々思い出しては、会えることを楽しみにしていたのだ

きっと立派な看護師になって戻ってくるね、そう海斗と笑いあいながら

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