もうすぐ夏なので怪談話でもおひとつ
 さて、わたしの住んでいた家は、御山の上に建っていました。

 わたしは神様というものが、決して、無条件で人間の味方でない事を知っています。

 御山の神さまは普段は素知らぬ顔、時々は助けてくれたりでした。

 神さまの住まう御山でしたが、普通に不幸が住民を襲ったり、トラブルがあったりしました。

 神様はとりたてて何かをしてくれるわけではないです。

 御山の神さまに措きましては、住宅地にして踏みつけにしておきながら、何も無くて済んでるわけで、むしろ感謝です。

 それを忘れちゃいけません。(笑



 わたしの祖母がまだ生きていた頃には、家の廊下の隅っこには何か居ました。

 わたしはコイツが怖くて、祖母が亡くなってコイツが居なくなるまで、独りで夜中にトイレに行けませんでした。

 いや、風呂で洗髪するのに目を閉じることさえ怖かったんです。

 隙を見せるのが怖かったので、寝てる時に腕を頭上へ上げるのも嫌でした。


 コイツがなんだったのかはついぞ解からないままです。

 ええ、わたしの語る話は解からないことばかりです。

 世の中、解からないことだらけです。


 祖母が亡くなると、まるで祖母を待ち続けていたかのように、ふっつりと居なくなりました。

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