Girl's? collection 2
「あーなんかお腹すいた。ねぇなんか食べにいかない?」
唐突に話題が変わる。オレの返答を待たずユズは続ける。
「ハンバーガー、ラーメン、唐揚げ、すき焼き」
「すき焼きは無理だろ。」
「焼き肉」
「いや、焼き肉も無茶だ。」
「しゃぶしゃ「よし、ラーメンでも食べに行こう。」
後ろで文句を言うユズをよそに、出口の扉へ向かう。
あ、でも。
扉へ手をかける前に一旦振り返る。
「オレと一緒でいいのか?」
不快ではないのか。仮にも二人きりなのに…。
「別に。お腹の方が大事。」
不敵に笑った。気づけば外は夕暮れで、わずかな光が図書室を照らした。その中でへッドホンについているコードが僅かに揺れる。でもそのコードが何も繋がっていないことを知っている。これはあくまでも精神的なもので、ヘッドホンはただの飾りだ。
いつか、彼女がヘッドホンを外して笑う日はくるのだろうか。
もし、この何でもない放課後が少しでも彼女が変われるきっかけになるのなら、これ以上良いことはない。
「そっか。じゃあ行こう。」
「行こう行こう。」
ラーメンがそんなに楽しみなのか。よっぽどお腹が空いているのか。
彼女は満面の笑みで笑っていた。