Girl's? collection 2
important thing
9月の下旬。残暑はもうなくなり、過ごしやすい気候になってきた頃。
早坂直樹は一つため息をついた。いや、正確には【如月ナオ】だった。
すーすーする……。
思わずスカートを押さえた。なんだか落ち着かない。落ち着くわけがない。
おぼつかない足取りで階段を登りながら、行き着いた教室の前で止まる。そこのプレートには【2-s】の文字。
いくら最近この姿で学校に行ってないからといっても……!できればこんな姿で歩きたくない。もしばれたりしたら……。
スーハー……
深呼吸してから扉を開ける。中では、
「おはよー。」
まず間の抜けた声が聞こえた。サヨだ。
本名は坂井 紗夜。おっとりとした性格で、いつもボーッとし何を考えているのか全くわからない。それゆえに格好も不思議だった。密編み、瓶ぞこメガネ、スカートは膝よりも下。まるで地味な格好だが、本当の姿はとても美人だったりする。そして彼女の愛読書といえば――
「ナオ見てー、この溢れんほどのギリギリ度。このバランスの取れた肉付き。最高だねー。」
――言わずもがな、18禁である。
「あは…ははは。」
とりあえず愛想笑いしておいた。
そして次に会ったのが、
カチカチカチカチカチカチカチカチ…
「えと、その……おはよう。」
「今ボス戦だから放っておいて。変態野郎が。」
……とPSPをかまっているのはユズ。
小森 柚末。毎日大きなヘッドホンをしているメカニック女。好きなものは肉と肉と肉と肉。つまり肉。肉のためならなんでもする、という噂だ。そしてとてつもない毒舌と男嫌いである。
そしてもちろん、教室を進むと。
「うふふ。ハルカ様ー涼しくなってきましたが、私には涼しすぎますわ。ですからチョウチョウめを暖めてくださいまし」
「えっ?チョウ……?」
そこには一方的に抱きつかれているハルカこと綾瀬 遥と、一方的に抱きついているチョウこと羽民川 蝶々だった。
ハルカは【女子の女子による女子のための部】の部長。なにかといちゃもんをつけては人を巻き込んでいる。多少ナルシストである。小さい体にはデザイナーの才能と、(どっからくるのかわからない)自信が詰まっている
チョウは……まぁ、ハルカが好きなんじゃないか?
二人とも制服を――原型をとどめるかとどめていないかの瀬戸際をさ迷いながら――改造している。
「お、おはよう…」
「あら、今日もかわいいわねナオさん。」
と、ハルカは言った。
――誰のせいで……。
「ん?何か言った?」
「いや別に。」
とりあえずニッコリ。