Girl's? collection 2
ノートって言われても男バージョンでちゃんと取ってるなんて言えず、
「えっと……みんなノートありがとう。男子とか女子とか関係ないよ。ありがたく使わせてもらうね。」
と両方のノートを受け取った。
「「「如月さん……。」」」
キーンコーンカーンコーン…
タイミング良くチャイムが鳴り、担任が元気よく教室に入った。
「やっほー。やっばい、今日遅刻しちゃって朝の会議出てないわー。連絡とか入っててもわからないから隣のクラスとかに聞いといてねー!」
なんというか適当である。この場合の【適当】とは、適度な力量をもって行動しているということか、いい加減にということかと聞かれてもノーコメントとしかお答えできない。
いい加減なHRはものの20秒で終了した。
そして本鈴と共に授業が始まる。
さすがSクラスだけあって授業中は皆真面目だった。まるで先ほどの喧騒が嘘のように。
しかしだ。
「………。」
たった1人だけ頭を抱える者がいた。それはもちろんオレである。
………わっかんねー……。
何で皆こんな難しい問題が解けるんだ。あり得ない。おかしい。おかしすぎるだろ。
黒板には発展問題しか出ていない。それはSクラスの基本であって、Bクラスの自分には到底太刀打ちできるものではない世界だった。
「(何で数学で"δ"とか"ν"とか出てくるんだよ~!!!)」
――――――――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン…
「じゃあ今日の授業はここまで。皆次の授業もしっかり予習してくるように!」
「起立。きょうつけ。礼。」
号令が終わった後、オレは抵抗もなく机につっぷした。改めて世界の広さを知ったような気がした。