エリートなあなたとの密約
準備を始めようと踵を返してシャワーを浴びてメイクや朝食を終えたのち、タブレットで修平にメールを作成する。
“お疲れさまです。身体だけは大切にしてね。いつもありがとう、大好き”と、気を遣わせないよう簡素な文面で彼のPCアドレスへ送信した。
幾ら本社に行っているといってもアメリカ本土の別支社に行っていたり、昼夜問わずパーティーや懇親会等に出席している場合もあるため、急用以外のスマホ連絡は避けている。
もちろん彼はスマホからも随時メール・チェックを欠かさないので、私がそう使い分けているのを気づいているだろう。
「行きますか」と独りごとを言って重いビジネスバッグを手にすれば、またいつもの日々が始まる。
こうして悩みのループから脱すると、まるで心の“ネガティ部”に出した休会届が受理されたような爽快感から、心は晴れやかなものになる。
つくづく面倒な性格だな、と感じてもこれが私なのだから仕方ない。こんな時もあるよねと笑えたら、あとは自分磨きに勤しむパワーにすり替わる。