エリートなあなたとの密約
夕陽に及ぶ、責務の壁
色々と事件のあった日の夜、帰宅は予想以上に遅くなり午前2時を過ぎていた。
金曜の夜を何とかフリーにしようと残務を減らせば、時間など幾らあっても足りない。結局は土曜の午前中に持ち越しを決め、ついに徹夜組へひと言告げて退社したのだ。
もちろん終電などとうになく、真夜中にはいつも不気味さを感じる社の裏口に呼んだタクシーでマンションへと帰宅した。
そこは修平が独身時代から住んでいたタワー・マンションで、結婚後も引き続き居住している。
結婚前には新居を見つけることも検討したが、利便性が高くて思い出のたくさん詰まった此処に愛着が沸いて留まることにした。
すっかり馴染みの夜を担当するコンシェルジュさんと挨拶を交わしたのち、くたくたに疲れきった身体でエレベーターに乗り込む。