エリートなあなたとの密約


友人たちの素敵な余興やキャンドルサービスを終え、私たちのいる壇上へ写真撮影に来てくれる人たちはみな笑顔。


結婚式は確かに自分たちの門出を祝う日であるものの、こうして支えてくれる大切な方への感謝を示す日でもあるのだとよく分かる。


何より、時間を割いて祝いに来てくれることに感謝の気持ちで一杯だった。



「真帆ちゃん可愛いー!」

「ありがとうございます」

「あーあ、手塩にかけて育て上げた妹を修ちゃんに取られた兄貴って不憫ー」

騒ぎも一段落した頃、絶妙なタイミングで現れた人たちについ笑ってしまう。


「たとえ修平でもね、アンタのもんになるよりは数百倍マシよ」

「うーわ、お姉さま相変わらずひどーい」

「いや、俺にもひどいだろ」と口を挟んだ修平は、フッと穏やかに一笑した。

「ハッ、うざ!」

それらを華麗に一蹴出来るのは、彼女の成せる業であろう。

「うーん、お姉さまそっそるぅ」

「は?熱田神宮で邪気払いして貰って来い」

こうして名古屋でも相も変わらずなふたりといえば、上司の松岡さんと絵美さんである。


絵美さんはネイビーのタイトなロングドレスを纏い、松岡さんはグレイのお洒落なスーツ姿だ。


ただでさえ、その長身と容姿で目立つ彼ら。少なくともこの場では、短時間で出席者全員に顔を覚えられたはず。


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