エリートなあなたとの密約


最後は奥村さんの晴れやかな宣言に、虚を衝かれて苦笑する私だった……。


その日の午後は本社とのWEB会議が入っており、渦中の松岡さんと修平とともに出席した。

溌剌とした声音で司会をこなす松岡さんに、淡々と切り込む修平。今や試作部のツートップが揃うとオーラも凄まじく。

本社のエリート集団に物怖じせず、辣腕を奮う彼らの傍らで進行を手伝う私は学ぶことばかりだ。


とはいえ、向こうを率いるのは“タカ派”の大神さん。舌戦の分は彼のほうに軍配が下った。

「もう一歩だね」

私たちを除いた出席者が会議室から退出したあと、大神さん本人が修平に向かってこう言ったように。


「そこまで追いつけたってこと?」

「えー、素直に受け取んないでよ。——変だよ?修ちゃんらしくもなーい。
じゃあ真帆ちゃんと松岡くん、またね〜」

片手でネクタイを緩めながら、もうひとつの手をひらひら振る大神さんとの回線はそこで切れた。

さらに会議室へ秘書さんが呼びに来たため、修平は何も言わずに部屋を退出してしまう。


基本的にクールに見られる修平だけれど、実際は内に秘めた闘志と志の高い人で。きっと、顔には出さなくても悔しかったのではないかと思った……。


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