Fate
「おはようございます!」
朝でもないのにオハヨーなんて…
芸能人だけかと思ってた。

あるんだな…リアルに。
コンバンワで良くないですか?

夕方だもの…。


「おはよう。みずほちゃん、ユミちゃん!」

厨房から感じのいい声が帰ってくる。

でも、私達には背を向けたまま…(笑)。

無口で照れ屋な所がある店長、佐伯さん。

40代半ばだろうか?プライベートも一切不明だけど…
私はこの人が嫌いじゃない。

むしろ、好きなタイプ。お父さんのような存在です。

「みずほ、ユミ、来週から実習でしょ?シフト少し減らそうか?」

マネージャーの紺野さん。自称32歳、独身。真意は置いといて…
凄く綺麗なカッコイいお姉さん。

「ぜんぜん大丈夫です!」
「バイト、楽しいし♪ねっ、みずほ!」


学校からチャリ(自転車)で15分。

鉄橋の下にある洒落た居酒屋
《Fate》。

一年ちょっと前から、私とユミのバイト先です。
ログハウス調の店内には古い洋楽が流れていて

木製のシーリングファン(天井扇)が回っている。
何と言っても制服が白の半袖Tシャツにジーンズというところがオシャレで気に入っている。

入学したての頃、先輩に連れてきてもらって、一目で気に入ってしまい…その時やってたバイトを辞めて、ユミと2人

《トラバーユ♪》

雰囲気だけじゃなく、料理だって本格的。なのにお手頃価格!?

だから店内はいつも、学生や仕事帰りの若者で賑わっている。
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