Fate
紺野さんは何故か何も聞かなかった。

「おつかれ様。気をつけて帰りなよ(笑)」

いつものように仕事帰りの私達を気遣って、店の前に出て見送ってくれた。

PM11:30

本日のバイト、終了。

ここからアパートまでは、チャリで約20分。

そうだっ…

コンビニ寄って帰ろう…
夜食、ヤショク♪

イライラするときは…食べるに限る。

そう…

やけ食いだ…(笑)


***

《ピポ、ピポーン》

「いらっしゃいませー」

やる気のない声が向けられる。

お約束(マニュアル)だもんね…

いらっしゃいましたー(笑)

何にしょうかな…

夜中にパスタは重いかな…?

まっ、いっかあ♪

「今晩は♪」

えっ…?

「あっ、えっ…?コンバンワ」

大きめな瞳に長い睫毛。すっきりと通った鼻筋。
栗色のサラサラした髪の毛をかきあげて、私ににっこり微笑んだ。

まるで物語から抜け出した王子様!?

昨日とは随分と印象が違う。

私の夜食をレジでチェックしながら、そのイケメンの店員さんが…

「昨日の人、あれから大変だったんですよー。君が落としたお金ずっと探してて…(笑)。ちょっとひくよねぇ」

やっぱり…

「ぷっ(笑)。ホント、ひきました。逃げちゃってごめんナサイ…」

「そうダゾっ(笑)。客が帰って2人っきりになった時なんて…ヤバい、キレそうだったし(笑)。」

面白ーい!感じのいい人だな…


「ねぇ、名前教えてよっ!俺、小林っ」

えっ!?


「わっ私、森山みずほ。」

「時々、ここで見かけるじゃん!可愛いーなぁって思ってたんだよね♪みずほちゃんかぁ〜。お友達になってよっ!」



えっ、ちょっ、何?


《いきなり超直球!?》
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop