GuiltCrown
「俺は…10才より前の記憶は………何も残ってない」




レシルの言葉は暗く、重い。




喋る度、思い出せる限りの記憶だけが頭を巡る。







『ねぇ、あの子』


『養子らしいわよ』


『普通、じゃないわよね』


『怖いと思わない?あの目付きといい、他人への態度!』


『そうよね……話そうともしないし』






『お前は、必要ない。だから………』










「…………」

「なぁレシル。一つ聞いていいか?」


オリハルの問い掛けにレシルは顔をあげて小さく首を傾げた。


「レシルって…年、いくつ?」

「俺…?………18だ」


「やっぱり僕のほうが上なんだな。僕、19だから」

「コンは10だよ〜」


一切参加していなかったコンが言って、レシルの側に寄った。





あまり喋ったりはしないが、レシルはコンに懐かれたらしい。



「珍しいな、コンがこんなに懐くなんて……あ、そうそう。それじゃあレシルは……」

「お前にも何か過去にあるのか?」


レシルの言葉にオリハルは固まった。

レシルは続けた。



「もしあるなら、俺だけが言うのは不公平だと思うが?」



オリハルは沈黙する。

だが顔をあげ、頭を掻きながら言った。



「あー、わかった。わかったよちゃんと話すさ。まずは聞いてからだけど」


「………本当だな」

「わかったって。続けるよ。レシルは11歳からの記憶はあるんだな?」





レシルは首を、横に振った。




それはオリハルにも想定外だったらしく再び緊張したような顔に変わった。




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