禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「兄の君に続いて妹まで城の御抱え騎士団長なんて誇らしい事この上ないじゃないか。名誉ある23代目聖乙女、『聖旗守護団』団長なんてさ」
ミシュラはソバカスのある鼻にシワを寄せながら問い掛けた。
純粋に疑問なのだ。この喜ばしい状況に不機嫌な目の前の男が。
「何が名誉なものか。誰も欲しがらない城の古びた旗を格好だけ守る腰抜けの騎士団に、お飾りとして祭り上げられる女団長。
貴族の娘で処女なら誰だって勤まるこの任務のどこが誇らしいと言うんだ、バカバカしい」
心底馬鹿らしいと云った口調でリヲは語った。そして更に
「そんなお遊びの騎士団長が、俺たちのこの女王殿下直属の第一騎士団と肩を並べて訓練すると言うんだ。この屈辱に苛ついて何が悪い?」
遺憾を含ませながら言うと、堅い樫のテーブルをドンと拳で叩いた。