禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
自室へ戻ったリヲの元にミシュラがノックをしてやってきたのは夜も更けた頃だった。
「リヲ、頼まれてた事調べてきたよ」
幾つかの紙の束と酒瓶を持ってミシュラが部屋にさっさと入って来る。
「すまないな、手数を掛けて」
「いいって。リヲは自由な僕と違って陛下に付いてなくちゃいけないんだからね」
紙の束をドサリと机に置くとミシュラは酒瓶の蓋を開け、部屋にあったゴブレットに注いでリヲに渡した。
礼を言って受け取ったリヲが葡萄酒を喉に流すのを見て、ミシュラも適当な椅子に腰掛けた。
「やっぱりこの国には聖旗に関する資料はほとんど無いよ。聖堂の地下にも行ってみたけど駄目だった」
「そうか…」
ミシュラの持ってきた紙束をペラペラ捲りながらリヲがもう一口葡萄酒を流し込む。
「ギルブルクは一体何が目的なんだ…」
先の戦いの腑に落ちない敵の行動を思い出してリヲの表情が曇る。
それを横目で窺いながら、ミシュラは少し躊躇ったあと自分も葡萄酒を流し込んでから思いきって口を開いた。