禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「リヲ。ギルブルクの目的が何かは分からないけど…ひとつだけハッキリ言えることがある」
いやに真剣な様子のミシュラに、リヲも無意識に表情を引き締め顔をあげる。
「ギルブルクは近い内に必ず再び攻め込んでくる。
そして奴らの次の狙いは…おそらく、アンだ」
言い切ったミシュラに、リヲは鉛色の瞳を見開く。
「敵は黒龍団を中心に総力をあげてアンを狙いに来るだろう。彼女に護衛を着けた方がいい。出来ればリヲ、君が着くべきだ」
「なっ…!?どうしてアンが…!?」
「ギルブルクは“聖女”を狙っている」
ミシュラの言葉に、リヲの心臓が不安に高鳴る。
――リヲ、私を守りなさい永遠に――
さっき命じられた主の言葉が頭を駆け巡る。
亡国の若き守護騎士の心を張り裂けんばかりに揺らしながら、デュークワーズの夜は更けて行く。