禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~



ギルブルクの次の進攻に対する迎撃の準備に、城の兵士達は慌ただしくも緊迫した日を送った。

そんな中に於いてアンもまた、来る日に備えて訓練を怠らなかった。

「アン様ー、そろそろ戻りましょう。晩御飯の準備が出来ていますよ」

「ありがとう、もう少ししたら行くわ」

兵士の詰所に隣接する訓練所で、アンは第一騎士団の者に頼み手合わせをしていた。

朝から晩まで、アンは剣の訓練を続けた。見ているサラが心配をするほどに。

「アン様、今日はもうおしまいにしましょう。汗びっしょりじゃないですか。ね、第一騎士団の皆様もご苦労様でした」

見兼ねたサラが手合わせの合間を見てアンに駆け寄り強引に腕を引いた。

アンの綺麗な輪郭から滴り落ちる汗をタオルで拭ってやりながら、サラは第一騎士団の面々に頭を下げて訓練所からアンを連れ出した。

「もう、アン様ってば根を詰めすぎですよ」

「ごめんなさい。でもじっとしていられなくて」

申し訳なさそうに笑うアンを見て、サラは悲しくなる。

アンが何故こんなに躍起になって稽古をしてるか分かるからだ。


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