禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~


ヨークと剣を打ち合ってアンは悟ってしまったのだ。自分はあの将軍に勝てないと。

剣での勝負でさえヨークの方は余裕を持ってアンの攻撃を交わしていた。その上彼には魔法と云う得体の知れない力があるのだ。

もしリヲがあの時来てくれなかったら。アンは間違いなく腕を焼き落とされギルブルクへ拐われていただろう。

致命的な傷を負ったことを考えるとヨークが再び黒龍団の指揮を取る事は考えにくいが、油断は出来ない。

彼に匹敵する力の剣士が再び城を攻めに来てアンを拐おうとする事は間違いないだろう。

――自分の身は、自分で守らなくちゃ。

アンの振るう剣からはそんな意地らしい気持ちが滲んでいて、サラは見守りながら胸を痛めるしかないのだった。


< 116 / 271 >

この作品をシェア

pagetop