禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「…リヲ。君にアンを守る気が無いのなら僕が彼女に着く」
思い切ったように言ったミシュラの言葉に、リヲは驚愕して立ち上がった。
「勝手な事を言うな。お前には砦の指揮を取ってもらう」
「砦の指揮なら第二部隊長のマイラーに任せられる。彼は僕以上に兵法に長けている」
「そういう問題じゃない。お前は団長である俺に逆らうのか」
両者は鈍色と濃藍色の瞳で睨み合ったまま一歩も引かなかった。
一発触発とも言えるこの状態で、先に目を伏せたのはミシュラの方だった。
「…リヲ。君は何の為に騎士になったんだい?」
「何?」
「僕は、自分や愛する人達を育んでくれたこの国を守りたくて騎士になったんだ」
伏せた瞳で悲しげに話始めたミシュラに、リヲは一度目をしばたかせた。