禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「幾ら国を守ったって…その中身が空っぽなら僕にとって守る意味は無いよ」
「…何が言いたい」
「リヲ。僕はアンを囮に使う作戦には従わない。彼女に着いて彼女を守るよ。かわりに自分の部隊も使わない。僕は一人でアンを、聖女を守りに行く」
「…ミシュラ!」
強い眼差しで、ミシュラはキッパリと言い切った。決して揺らがない決意を籠めて。
「第二騎士団に黒龍団の相手は務まらない。僕が彼女を守り彼女と共に戦う」
「いい加減にしろ!ミシュラ!!第一騎士団の副長として立場を弁えろ!」
遺憾を抑えられず胸ぐらを掴んだリヲを、ミシュラは真っ直ぐ見つめながら告げた。
「僕はアンを愛してる」
偽りの無い色で紡がれたその言葉に、リヲの瞳が大きく見開かれた。
「愛する女性の命をみすみす捧げる事で生き延びる国なんて…僕にとってそれは守るに価しない」
力の抜けたリヲの手から、ミシュラは自分の胸ぐらを離させた。