禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~


「団長命令で除任したって構わない。

僕にとっての騎士の誇りは、第一騎士団副長の肩書きじゃなく大切な人を守るこの腕だからね」

強い瞳のまま笑ったミシュラに、リヲはただ驚愕の眼差しを向ける事しか出来なかった。

そんなリヲを見てクスリと口許を綻ばせるとミシュラは

「驚いたかい?まさか親友が君の妹を好きになるなんて。

甘いね。あれほど魅力的な女の子に、親友と言えど不用意に僕を近付かせた君が悪い」

いつものおどけた調子でそう言ってリヲの胸をドンと拳で叩いてから部屋を出ていった。

残されたリヲはそれを目で追うことすら出来なかった。


自分に出来ない事をしてのける親友が妬ましくて。

同じ想いを抱えている筈なのにそれが許されない自分が悔しくて。

リヲはもて余す感情に立ち尽くす事しか出来ないでいた。



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