禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
『今日からお前は私の子だ』
「はい。父上」
幼い黒髪の子が目を輝かせて頷く。
家族だ。俺にも家族が出来たんだ、と。
――ああ。あれは幼い日の俺だ。
父上に、ミルト=ディオ=ガーディナーに貰われた日の…まだ“黒かった”頃の俺だ――
リヲは夢を見ていた。
月明かりの射し込むベッドの上で浅い眠りにたゆたいながら、幼い頃の夢を見ていた。
――…嬉しかった。生まれてからずっと孤児だった俺に、家族が出来るだなんて。
『意志の強そうな瞳がいい。きっとあの子は強い子になる』
名門ガーディナー家の跡継ぎを、わざわざギルブルクの辺境の孤児院から見つけ出した理由を父はそう語った。
ガーディナー家が代々デュークワーズ王家に仕える誉れ高き騎士の一族だと、俺はガーディナーの姓を与えられて直ぐに教えられた。
つまりそれは、俺にどのように育てと言っているのか。幼い身にも容易に分かる事だった。