禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
俺はアンの話に耳を傾けず剣を振り続けた。
『アンもねえ大きくなったらにいさんみたいな立派な騎士になるの』
無視する俺に構わずアンは勝手に夢を喋り続けた。その無邪気な夢がどれほど俺にとって驚異かも知らずに。
『それでねえ、お父様みたいなお城の騎士になってねえ』
黙れ。黙れ黙れ。
俺の前で夢を語るな。
『国で一番の騎士になるんだ』
黙れ!!
俺は耐えきれず剣を放りアンの腕を掴んだ。
突然強く腕を拘束されて、アンは大きな瞳をきょとんと見開いた。
けれど、睨み付ける俺に構わずアンはいつものように花が綻ぶような笑顔を見せると
『それでね、アン、にいさんのお嫁さんになるんだ』
そう、俺に伝えた。