禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
禁じられた恋を覆い隠すように、俺はますますアンに冷たい態度を取るようになった。
アンは幼すぎて俺にされた事が分かっていなかったのか、何も変わらなかった。
けれど、自分がアンを愛してると気付いてしまった俺にとって毎日は苦しいものとなった。
また『リヲ』と呼んで欲しくて。
それは禁忌。兄でいなくてはならない俺の禁じられた望み。
ある日、俺は加密列の花を使って髪の色を変えた。漆黒から褪せた錫色へと。
…家族に、なりたかった。
ガーディナー家の両親の髪色に似せる事で、俺は少しでも本当の家族に、アンの兄になりたかった。
禁忌を望む自分を戒める為に、愛するアンもやっと手に入れた家族も失う事の無いように。
俺は自分の想いを封じると共に漆黒を捨てた。
そして翌年。俺は城の見習い騎士として宿舎に入るため家を出た。