禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
離れて暮らしても、アンが俺の心から消える事は無かった。
それを振り切るように尚鍛練に励み、俺は異例の早さで正騎士に昇格し第一騎士団へと入団した。
そしてちょうど同じ頃だった。戦争が始まったのは。
戦で武勲を上げた事、デュークワーズの名だたる将達が相次いで伐たれた事が重なって、俺は21歳と云う若さで国の最高位の騎士に就く事が出来た。
いや、それだけが理由じゃない。
デュークワーズ王家最後の生き残りヴィレーネ女王。彼女に気に入られた事が何より大きかった。
国家の危機とは云え、正規の騎士になってまだ数年の若造が陛下直属の騎士となり、側仕えの如く身を置き、国政にも口を出せる立場になったのは彼女自身とその周囲の思惑があったからに他ならない。
ヴィレーネ女王陛下と…この国最後の希望と、俺は子を成す事を望まれている。