禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
この国で最高位の騎士になる事が俺の夢だった。
その上、王家と婚儀を結ぶなど、これ以上ない両親への恩返しだろう。もはやガーディナー家の家督どころの話ではない。
男としてにべもなく受けるべき話だった。
ただ一言、女王陛下に愛を囁けば、きっとこの国の頂点に君臨する夜が開けるだろう。
けれど。王の座を目の前にしても揺らげない想いが俺の中にはあった。
『…リヲ…』
どうしても。どうしても、あの日俺を呼んだ声が消えない。あの想いが消せない。
苦しくて胸が張り裂けそうな禁忌の思い出は、けれど、この上なく幸せで大切なものだった。
王の座さえ惜しくないほど俺はアンを、光の子を今も尚、愛している。