禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
繰り返される辺境の地での戦。弱体化していく国と、若き女王と俺に掛かる期待。
時間は待ってくれない。国のために自分の想いを捨てなくてはならない。そう葛藤し続けていた日に、耳を疑う話が飛び込んできた。
アンを聖旗守護団団長、23代目聖乙女に任命すると。
今の我が国の状況を考えればそれは正しい選択だった。女と言えど戦力にもならないお飾りの騎士など置いておく余裕は無いのだから。
けれど俺の心は大きく揺らいだ。
離れる事で保っていられた理性がどうなるのか自分でも分からなかった。
今でも俺の心は渇望している。金色の少女に再び呼んでもらう事を。
もう一度この手に彼女を抱く事を。
そんな想いを胸に秘めた俺の前に、18歳になったアンはやってきた。
成長し輝かんばかりの魅力を纏った女として。
ずっと抑えていた少年の頃の想いが甦る。
狂おしい程の愛しさと、羨望と…嫉妬と。
俺が命を危機にさらしながら手に入れた王家直属騎士団団長と云う最高位に、伝統のお飾り騎士団とは云えアンはあっさり肩を並べたのだ。
どこまでも神に愛された子。
そんな惨めな思いと、男を惹き付けて止まない魅力を持ちながら無防備な彼女への苛立ちが相まって、俺は昔以上にアンに辛く当たった。