禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
翌日の軍議では戦況を何も知らない大臣達に、忠誠を破った俺と聖旗を奪われたアンの失態について厳しく責め立てられた。
その結果、アンを囮にした冷酷な作戦が決定された。
陛下の承認もあって、それに異を唱える事は許されなかった。
俺がアンを守った為に。忠誠を破ったばかりに。事態は最悪なものへとなっていく。
「甘えるな。俺が側にいなくとも、騎士として戦い抜け」
アンに投げたそれは俺自身に向けて言った言葉かもしれない。
もう、俺を兄と慕わないでくれ。守ってなどやれないのだから。俺達は兄妹で、騎士なのだから。
そんな想いで悲しい翡翠色の瞳を振り切って来た俺に、同じ夜友人が告げたのは
『僕はアンを愛してる』
決して俺が口に出来ない台詞だった。