禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
どうして俺達は兄妹で、騎士なのだろう。
家族を失いたくなくて、独りに戻りたくなくて邁進してきた道だった。
最高の地位と名誉を手に入れ夢は叶ったはずなのに。
…アン。
俺は…俺は…―――
目映い朝の日射しと鳥の鳴き声に、リヲはゆっくりと目を覚ました。
浅く夢を見続けた頭が重くて割れそうだった。
――嗚呼、全て夢だったら良かったのに。
顔に手を当て声にならない嘆きをリヲは呻いた。
そうしてしばらくの後、リヲはのろりと立ち上がり部屋を出た。
全てを振り切り、国を守る騎士として朝を迎えるために。