禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
ドキドキと高鳴る胸を、アンは自分の両手で押さえた。顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。肩に置かれた手が途端に熱く感じられた。
「…み、ミシュラ……。…あ、あの、私……」
登城した日からずっと優しくしてくれたミシュラの存在はアンには大きかった。何度その明るさに救われた事か。
そんな頼もしく優しい男が、今、自分に愛してると告げたのだ。副長の地位さえ惜しく無い程にと。
それは異性と付き合った事など無いアンにとって、どうしていいか分からない程の衝撃だった。
上手く言葉も出てこず赤い顔でまばたきを繰り返すばかりのアンを、ミシュラは可笑しそうに目を細めるとそのまま肩を抱き寄せて自分の胸に包んだ。
「……!!!」
その行為に、アンの思考はますます混乱に陥る。
「アン、君は僕が守る。命に変えてでもね」
愛おしそうにぎゅっと背中を抱きしめられ、アンはドキドキと震える手でミシュラの胸を押し返そうとした。
「み、ミシュラ。待って、私…」
けれど弱々しい抵抗を封じるように、抱きしめる腕には一層力が籠ってしまった。
「ミシュラ…!お願い、待って!私…っ」
抱きすくめられた腕の中で、アンがいやいやと必死に首を横に振る。
「アン、僕が嫌いかい?」
「そうじゃないけど…、でも、私…私」
「…他に好きな男がいるのかい?」
抱きしめたままされたその質問に、アンは口をつぐんでしまった。
途端に拒むようにアンの体が硬くこわばった事に、ミシュラは無言の答えを感じ表情を曇らせた。