禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
同じ時刻。
東部の街外れには無惨な第三騎士団の死体が積み上がっていた。
「デュークワーズの奴等はよっぽど俺達を歓迎してくれてるらしいなあ。
録な護衛も着けずわざわざ聖女を街外れに用意しといてくれるとはなあ?」
そう可笑しそうに笑いながら巨躯の黒馬に跨がった男は、自らが焼いた兵士達の上を進んだ。
大きな蹄が残酷に炭と化した人の頭を踏み砕く。
「それとも、聖女と一緒にあいつも用意してくれてるのかね。俺の腕を落とした男もよお」
黒い兜の下で、男はたぎる血潮に喜びを抑えきれず口元を歪めた。
まるでそれに呼応するかのように、黒い鎧のヘマタイトがギラリと鈍く光る。
クツクツと笑う口元を押さえたその手は、紛れもなくリヲが落とした筈の左腕であった。