禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
古めかしい教会のレリーフに、サラは祈った。
神様。神様。どうかこの国を、アン様をお守り下さい、と。
祈り、顔を上げて振り返った瞳に映ったのは。
二十人余りの第二騎士団の部隊と、抜刀したミシュラ 、そしてその背に庇われながらも戦いの構えをとるアンだった。
外からは人の絶叫と金属のぶつかりあう音が聞こえ、馬の蹄が大地を揺らしている。
やがてそれらは確実に教会へと近付いて来て、そして室内の空気が千切れんばかりに張り詰めた瞬間。
「…来る…!!」
ゴォッ!!と云う黒い炎の唸りと共に、扉が塵となった。