禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
幾人かの、ギルブルクの血が流れた。
けれど、その倍以上のデュークワーズの兵が一瞬の内に塵となった。
もはや、壁にすらなれなかった第二騎士団の燃え尽きた死体が教会の入口付近を埋め尽くした。
「進歩がねえな、この国の兵隊はよ。俺に燃やされるってのがまだ分かんねえか」
自分の燃やした人間を踏みつけながら、ヨークは躊躇なく奥へと足を進めた。
その正面に…デュークワーズで二番目の誇りを賜った騎士が立ち向かう。
「ん?こないだ俺の腕を切った奴か?」
ヨークが第一騎士団の紋章の入った鎧を見止めてミシュラに尋ねる。
「…生憎だね。その男はここにはいないよ。
今日の相手はこの第一騎士団副長ミシュラ=ポートアールだ」
兜のアイスリットの隙間から、ミシュラは青色の瞳でヨークを睨み付けた。
剣はいつでも敵に飛び掛かれるよう構えられている。
その隙の無さに、ヨークもミシュラが相当の手練れである事を見抜く。