禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
まるで、太陽の光を集めた黄金だと。
或いは溢れ出る蜂蜜のようだと、彼女はその美しい髪をよく誉められた。
「いやぁ、本当に綺麗な髪だね。この国でそんなに濃い金色は初めて見たよ」
「どうもありがとう、ミシュラ副長」
ビロードの豪奢な絨毯が敷かれた城の廊下を歩きながら男と女は話した。すれ違う兵士達が皆、二人に向かって敬礼をする。
「リヲは 、君の兄上はシルバーアッシュなのに兄妹で随分髪色が違うもんだね」
「父も母も鈍色だから、どうやら私が変わり者みたい。
よく言われたわ『外で遊んでばかりいるから、お前の頭はお日様を吸収しきっちまったんだ』って」
「ははは、どうやら聖乙女殿がとんだお転婆娘だと云う噂は本当のようだな」
ミシュラが屈託の無い笑顔で笑うと、隣を歩いていた黄金の髪を持つ娘も愛くるしい顔で笑った。
「あら、誉れ高き第一騎士団ではレディに対して随分な噂が飛び交ってるのね」
「アン殿がとびきり愛らしい女性だと云う噂も飛び交っておりますが?」
そう言うとミシュラは娘の前に回り方膝を付いてその柔らかな手を取った。
「デュークワーズ第一騎士団へようこそ、美しき聖旗守護団長アン=ガーディナー殿」