禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
夜の帳と共に訪れた僅かな静寂の時間。
デュークワーズ城の王宮の間ではヴィレーネ女王はじめ、リヲも含めた大臣や司教ら重臣が緊急の話し合いを設けていた。
「もう我が国には後がありません!陛下はやはり御身を隠されるべきです!」
「ギルブルクは野営にて兵を待機させています。夜明けと共に再び攻撃が始まると見て宜しいでしょう。もう時間がありませぬ」
「陛下、どうか御決断を!!」
すがるように大臣達はヴィレーネに逃亡を薦めた。
このまま籠城していては間違いなくヴィレーネは討ち取られる。
城を奪われ王を討たれては、デュークワーズは完全にその名を歴史から消す事となる。
ならばせめて、女王だけでも。デュークワーズの血だけでも絶やしてはならぬ。
その想いは皆同じであった。
「ヴィレーネ様…!どうか、どうか貴女の御命だけでも…!!」
皺くちゃな顔を涙で濡らして、最後の希望に大臣らはすがった。