禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~


「……リヲ。貴方はどう思いますか」

ずっと口を開かなかったヴィレーネが、静かに言葉を発した。

場は静まり返り、ヴィレーネの脇に控えていたリヲに注目が集まる。

リヲは伏せていた切れ長の瞳を上げると恭しく返事を紡いだ。

「僭越ながら、私も皆様と同じ意見に御座います。

陛下の命が在ればデュークワーズは敗けではありません。いつの日か城を奪還して再び玉座に掛ける事が出来ます。

陛下。この国を守り散っていった者達の為にも、どうか“最後の希望”で在り続けて下さい」

静かにそう述べたリヲに、ヴィレーネがゆっくりと視線を送った。


「……リヲ。貴方が、私を守って下さるのなら」


最後に、亡国の騎士は託された。

この国の細い細い最後の希望を。


「……この命尽きるまで。片時も陛下の側を離れぬ事を誓います」


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