禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
一方、教会では。
アンが補給された新しい純白の鎧を身につけ、昨日と同じように礼拝堂で迎撃の準備をしていた。
「昨夜は少しは眠れたかい?」
同じく支度を整え戦闘の準備に入ったミシュラがアンに問い掛ける。
「ええ、大丈夫よ。心配掛けてごめんなさい、ミシュラ」
結局は一睡も出来なかったアンだが、ミシュラに心配を掛けまいと気丈に振る舞う。
「良かった。君が元気になればそれでいいんだよ」
「いつまでもメソメソしてたらサラに怒られちゃうものね」
アンはそう言って微笑みながら、昨夜サラを寝かせてた長椅子を見やった。
サラの遺体は早朝に憎兵が弔いの為に引き取っていった。
アンはサラの橡色の髪を一束切って御守りに貰うと、彼女に甚謝の礼をして見送った。
自分を守ってくれたサラの為にも、死ぬわけにはいかない。
アンはそう決起した。
そして
生きて、生き抜いて、もう一度リヲに会うのだと。
自分の胸に熱く誓った。