禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~







―――森は見ていた。



瑠璃の葉が重なりあって濃い陰を落とす緑藻色の広場。

所々に射し込む天からの光の筋が、まるで二人を照らし出すように降り注いでいる。



「…に…にいさん……」


「兄さんじゃない。リヲと呼べ」



鮮烈なる静寂の草木の息吹の中で、幼い男女の震える声だけが響いていた。







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