禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
馬車はやがて揺れる荒れ地を通り抜け、舗装された城下町へと入っていった。
自分はギルブルクの城へと連れて来られたのかとアンがぼんやりと考える。
いったいギルブルクは自分に何をするつもりなのだろう。想像するだけでも身の毛がよだつ。
敗戦国の騎士など首を斬られるのが当然でましてや自分は女なのだ。ただで殺してくれるほど甘くはないだろう。
そんな人としての誇りを踏みにじられる目に遭うぐらいなら、いっそ潔く。
奥歯をギリ、と噛みしめた時、馬車が止まった。
「やっと着いたみてえだな」
気だるそうに立ち上がって幌に手を掛けたヨークが、何かを思い出したようにふいに振り向いた。
そして突然アンの身体を捕まえ力強い手付きで顔を掴むと、無理矢理に唇を重ねてきた。
「……!!」
突然のその行為にアンは驚き、身動きのとれない身体を捩ってもがき逃れようとする。
しかし強く掴まれた顔も身体もピクリとも動かす事が出来ず、重ねられた唇からは強引に舌が差し込まれた。