禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「儀式の前に勝手に死なれでもしたら困るんでね。まあ慣れりゃ悪くねえぜ、不死ってのもよ」
ヨークの言葉は本来ならとても信じられるものでは無かった。
けれど、目の前の男は何度身体を刻まれても容易く復活していたバケモノだと云う事実が、アンに信じがたい絶望を新たに与える。
茫然とするアンに、今度は軽く恋人のようなキスをして
「これからはバケモノ同士、仲良くやろうぜ」
ヨークは彼女の誇りを奪い取る。
―――この悪夢に、終わりはあるの。
アンの瞳は光を亡くし、ただ幕開けしたばかりの暗い夜を映すだけだった。