禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
―――死ぬ事の出来ないこの体で、たかだか数日数年抗い続ける事になんの意味があるのだろう―――
ヨークから凄惨であまりにも救いの無い話を聞いた後、アンは絶望の表情を浮かべたままギルブルクの王に引き合わされた。
ヨークの醜悪な話に乗るくらいだ、叡智などと程遠い顔をしてるだろうと思われた王はアンの予想通り下卑た笑みを浮かべていた。
「余に力を貸すことを誓え」
と尊大に振る舞った王に俯き黙り続けたアンを、近くにいた側近らしき騎士は躊躇なく持っていた槍の柄で殴り飛ばした。
「貴様が不死になったと云うことは聞いている。ならばこちらも加減せず拷問を加えられると言うもの。大人しく従った方が身の為だぞ」
側近の男に冷たく言い放たれ、鳩尾を打たれて片膝を付いたアンに、その場にいた者は皆哀れみも同情もしなかった。
そのまま引き摺られるように牢に入れられたアンに
「ここにいる奴らはてめえを道具にしか思ってねえ。利口にしとかないとお仕置きはどんどんキツくなるぜ」
ヨークはそう言い聞かせるように忠告を残して去って行った。