禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「……これは……?」
そう呟いたのは、ヨークだけではなかった。
国を覆っていた白と黒の霧は晴れ、空はいつの間にか星と月を映し出している。
まるで夢でも見ていたかのように辺りは平穏を取り戻し、満ちていた禍々しい気配も感じられない。
そして
「………やってくれたな、あの女」
そう呟きギリ、と奥歯を噛んだヨークの左手からは六芳星の印が消えていた。
「ヨーク!!どうなってるんだこれは!?」
動揺を露にした王が近衛兵を押しのけ詰め掛かると、ヨークはフゥッと呆れたような息を吐き出し祭壇の横に倒れているアンを指差した。
「闇の精霊も混沌の王も消えちまいました。封印じゃない、今度こそ消滅だ。
……その女が全て、消しちまった」